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放浪画伯さん

村上康成さんは、絵本作家として有名な方で、釣り人としても素晴らしい方。数年前にイベントでお会いしたのがきっかけで、ちょくちょく連絡を取ったりでした。

 

今年の村上さんのカレンダーでモモンガの話になったのがきっかけで、話が弾んで、「実際の生モモンガをみて、ロッジで絵を書きましょう」という話に、、、。しかも、絵のサイズが当初はA4くらいのサイズを想定していたのですが、これまた膨らみ、コンパネを画材にして、150cm✖️150cmのサイズにまで膨らんでしましました。

 

2月18日からロッジに3泊して、エゾモモンガを朝と夕暮れに観察しながら、4日間で絵を完成させる。という奇跡的で、まさかの計画がスタートしたのでした。

 

まずは、画材選びでした。ホームセンターに行くとシナベニヤや針葉樹のコンパネ、ランマー材などいろいろなコンパネが売られているので、木目や質感などを確かめながら、最終的に決まったのは、モモンガが針葉樹の森にいることから、いい香りがして木目が綺麗な針葉樹のコンパネに決まりました。それを150x150にカットしてもらいました。

そして、つづいての指示が、コンパネをつなぎ合わせて、曲がらないように、ゆがまないように裏から補強する。

これぐらいはDIYでなんとかできますが、必ず邪魔がはいり、一匹のうちのモモンガが飛び込んできましたが、なんとか準備ができました。

 

あとは、村上さんが来られるまで、「できるだけ明るい時間で、そして低い場所で!」とモモンガたちと打ち合わせ。

画材の準備が整い、モモンガたちとの打ち合わせも完璧。朝、夕のモモンガたちの活動は、安定していて、確実で、手堅い日々が続いていました。なのですが、、、

1月17日。村上さんが来る前夜でした。珍しくテレビの取材で、エゾモモンガを撮りたいと夕暮れだけのお手伝いで、夕暮れのモモンガの場所にご案内しました。私も出演で、マイクをつけて、慣れない取材の応じて、緊張しながらの夕暮れの出待ちでした。

 

いつもの巣穴で、いつもの時間に、いつもの立ち位置で、カメラマンと息を殺して身動きせずにモモンガが穴から顔を出すのを待ったのですが、

 

待っても、

 

待っても、

 

待っても、そして!

 

真っ暗になりました。

 

こんな時に限っての、不発。ここのモモンガたちはメディアが苦手なのでしょうか?そして番組はどうなるのでしょうか?とりあえず、冷や汗タラタラの私の姿は収録できた様子でした。

 

車までの帰り道、でっかい月が登ってきて、寂しいトボトボの帰り道でした、、、

 

そして、そんな前日のまさかの不発。明日から村上さんが来られるのに、

 

なぜ出なかったのか?

 

なぜいつもと同じ行動を見せてくれなかったのか?

 

もしかしたら巣穴を変えてしまったのか?

 

明日の夕暮れも出てくれなかったらどうしようか?

 

などと頭の中をグルグル回り、夜も眠れず(ぐっすり眠りましたが、)、次の夜明けにチッェクに行くと、夜明けの森には所定の場所にいつものモモンガの姿がありました。そして、低い巣穴へと戻っていったので、なぜ昨晩、現れなかったのか、不思議で、とりあえず穴に入ったのは確認できたので、今夜どうなるか、村上さんのお迎えになりました。

 

 

1月18日、空港にお迎えし、前夜と今朝の状況を村上さんに一部始終をお話して、出るかどうか、不安ながら巣穴の前で待つことにしました。低い巣穴に1匹は確実に入ったのを朝見届けているので、穴の中にいることは間違いないので、それを信じて待つこと、20分、、、

ほぼ、定刻どおりに、低い巣穴から2匹続けて出てきてくれたのです

やれやれ、昨晩はなんだったのだろう?とハテナ、ハテナで考えながら、無事に穴から出てきてくれたことを安心して見ていましたが、少し様子が変でした。

 

普通は、巣穴から顔を出して、トイレを済ませ、木に登ったら、ハンノキ(餌場)へと滑空していき、ハンノキのてっぺんで食事を始めるのですが、飛んだ先は、低い茂みの中でした。他にも2匹のモモンガがいましたが、いつまで経っても食事をはじめず、低い場所で固まったまま。こっちとしては写真が撮れて、ゆっくりと観察できるし良いのですが、ちょっと不思議に思っていると、、、

 

視界の片隅を音もなく飛んできた白い影がモモンガがじっとしている茂みのなかに突っ込んできました。

 

音もなく飛び込んできた白い物体はエゾフクロウでした。しかも完璧にギラギラのハンターの目です。

 

 

これで、昨晩の謎がわかりました。

 

数日前からこの場所にモモンガがいることをエゾフクロウに見つかってしまったらしく、エゾフクロウがにらみをきかせてることで、エゾモモンガたちは怖がって夕暮れにでてこなくなっていたという、推測です。穴からでたら、フクロウが襲撃してくるなんて、モモンガたちにとっては脅威です。

 

この夜は、運良くモモンガたちが定刻の時間に出てきてくれ、エゾフクロウも飛び込んできて、モモンガたちは、どこかに身を隠し、しばらくモモンガの様子を伺っていたエゾフクロウもどこかへと音もなく消えていきました。そして、昨晩と同じでっかい満月が上がりました。

 

そんな、ありえない夕暮れを体験された村上さんが一言。

 

 

「こりゃ、予定していなかったけどフクロウも描かないとなぁ、、、」と苦笑いでした。

 

 

どんな絵になるのか楽しみであり、そしてこのエゾフクロウに見つかってしまったエゾモモンガたちがこの後どうなるのか、またまた悩みの種ができたのでした。

 

 

 

そして、夕食後は、子供達の絵画教室?、村上さんの画材のあまりがあったので、さっそく子供達のお絵かき材になりました。子供たちの自由気ままに手が動いて、どんどん膨らんで描く姿を見ながら、「やっぱり子供の自由さは素晴らしい」とおっしゃっていました。大人はいろいろ考えて考えて書けなくなってしまうのに、、、

1月19日翌朝も早朝、昨晩のモモンガの場所に観察にいきました。到着すると同時に巣穴の近くの餌を食べる小枝にモモンガが乗って、取ってきたハンノキの雄花をムシャムシャと食べていました。昨晩のフクロウから逃れることができ、いつもの可愛らしい姿を観察し、穏やかな朝になりました。

 

朝のモモンガの時間が終わり、帰る途中の音更川は霧氷で真っ白、白鳥や鴨たちが厳しい寒さのなかを生きている、美しい姿です。

これで村上さんの充電は完了した様子で、ロッジの二階の和室は、村上さんのアトリエと化し、椅子に座って画材とにらめっこ。私のお役は終わったので、リラックスしてワクワクでした。

朝から晩まで、和室にこもり、ときどき「ふぅー」とか「よいしょー」とか聞こえてきました。

 

こっそり覗いたら、「モモンガになっていたらどうしよう・・・」(鶴の恩返しのような)、と思いつつ、完成してからの楽しみでもあって、あまり途中経過は覗かないようにしていましたが、途中経過も撮っておいたらとお誘いしてもらったので、少し職人の姿を見せていただきました。

 

物を見て、それを描いて、作品に仕上げる。それが、子供や親御さんが絵本として手にとって、夢を描く。どこかで誰かがまたニヤニヤしている。そんな世界もまた。

 

面白いですね。

村上さんの滞在で、子供たちの創作意欲も刺激されたのか、いい刺激をいただきました。いろいろ副産物も完成され、素敵な体験、滞在期間になりました。

 

早く描き終わったら魚釣りにでも、、、と思っていましたが、重ねて塗ったり、細かい部分を想像して、構想して、やっぱり世界がかわれば世界があるのですね。じっくりどっしり構えて画材に向き合って、ひとつづつ丁寧に描いていく姿は、やっぱり本物の姿、すごい世界を見せていただきました。本当にあっぱれでした。

1日目はモモンガを見て、2日目から3日間の作成。最終日の4日目で予定通りの完成。

 

エゾモモンガもですが、エゾモモンガを取り巻く自然ともしっかりと対峙でき、それを和室に缶詰状態で描き、ロッジでの時間もゆっくりとおくつろぎできた様子で、4日目にはなんとなくさっぱりとした表情でした(笑)

 

自然やフィールドがあることが第一ですが、それをテーマにいろんな人と繋がって、広がっていく世界もまた面白いものです。村上康成さんには感謝しかありません。本当にありがとうございました。放浪画伯さんは次にどこへいかれるのでしょうか?

 

村上康成さんのホームページが以下になります。
https://www.y-murakami.com/
http://www.murakami-museum.co.jp/
http://ymshopmint.cart.fc2.com/?ca=3

 

「ピンク、ぺっこん」、「モモンガもんじろう」、「星空キャンプ」はお子様やお孫さんに是非です。村上さんの絵本で育てば、私のような野生児?に育つこと間違いなしでしょう。笑

村上康成さんのホームページから購入することができるようです。

 

そして、さらにこちらの「水ぎわの珍プレー」は、大人が読んでも面白い本です。特に釣りが好きな方にとっては、本当に素敵な本です。ぜひ、手にとってみてください。もしあなたがフライフィッシングをされるのでしたら、この「然別湖のアワフキマス」は必ず読んでおいた方がいいかもしれませんよ!本から飛び出したリアルな世界が、ここ十勝にはあるのです。

 

「水ぎわの珍プレー」も村上さんのホームページをチッェクしてみてください。

さて、十勝の春はどんどん進み、今朝は、朝の氷点下で凍ったフクジュソウの蕾を見ました。春のわびさびも素敵です。どんどん春です。モモンガたちも繁殖期を迎え、あのフクロウににらまれたモモンガたちはその後どうなったのでしょうか?また、時間があるときにブログで、、、。更新頑張ります。ロッジの壁にかかった村上さんの絵もまたお楽しみに!

 

 

ロッジラッキーフィールドでは、自然のなかへとご案内するガイドとロッジ(宿泊)を行っております。冬は11月から3月末までエゾモモンガやエゾフクロウなど興味に合わせたガイドを行っており、初心者の方から熱中症の方まで、体力や興味に合わせてプライベートのガイドを行っております。詳しいことは、お気軽にお問い合わせください。メールは、 info@lodgeluckyfield.com