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2匹のエゾモモンガ

2月1日。今朝はよく冷えマイナス20度近くまで下がりました。朝5時30分。ゆっくりと明るくなる空ををツルツル路面に恐る恐る車の窓越しに見ながら、エゾモモンガが暮らす林を目指します。12月にチェックした巣穴ですが、2匹だけしか入っていないしちょっと不安定。それも藪が多く歩いて近くのも面倒でした。雪が積もるとさらに歩きにくくなるので、最近行っていない巣穴でした。そんな不確実な巣穴ですが、穴が地上1mのところにあり、低い位置でエゾモモンガを観察できるので、滑空シーンも近くでみれるかも、と思いながら3日前に確認に行きました。

 

30センチほど雪が積もり、長靴で歩くにはギリギリの深さでした。雪を踏み固めながら道をつけて、巣穴の下に糞があるのを確認して、雪を掘ると新しいフンとおしっこの匂いで、気配ムンムンの巣穴。しかも巣穴を静かにのぞいてみると、エゾモモンガが見えました。綿毛や木の皮の巣材に包まれたエゾモモンガと目があってしまい、これは申し訳ないと撤退しました。そんなことがあっての3日後の今朝の夜明けのモモンガを見に行きました。

 

息を止め、体を固め、静かに待つこと10分。1匹のエゾモモンガが巣穴から出てきて、近くのハルニレに飛んで行きました。「ん?これから活動開始?」と思いながらハルニレの枝に乗ったエゾモモンガを見ていると、もう1匹が巣穴からでて同じハルニレへ。本当なら巣穴に到着することには、暗いうちに巣穴をでて食事に出かけているはずなので、寝坊でしょうか?明るくなる頃に巣穴から出ていく2匹のエゾモモンガでした。

 

 

活動開始が遅かったためか、太陽が地平線から上がっているのに気にせずハルニレの芽を食べ、ときどき鳥に驚いて、下に降りたりまた上って食べたりと、夜明けから40分ほど、可愛い姿を見ることができました。普段は日が昇る前には巣穴に戻るのがエゾモモンガですが、明るくなっても食事を続けるエゾモモンガや1月や2月の繁殖期ではない時期でも、日中堂々と木の上で食事をするエゾモモンガを見ることがあります。昼の行動はまったく謎で、夜の寒さなのか?、フクロウやテンなどの天敵のためなのか?と推測されますが、謎です。ラッキーです。ただ、エゾモモンガがすぐに身を隠せる茂みがあったり、すぐに逃げ込める穴の近くに餌場がある場合など、昼に活動する条件はある気がします。

 

エゾモモンガが昼に行動すると、写真も簡単に撮れてしまうので、日の出前のあのキンとした空気や指先の痛みを我慢してシャッターを押すときのなんと言うか「生きている」という感じ。写真に収めるのが難しのがエゾモモンガで昼に行動されると、可愛いリスに降格してしまいます。ですが、日中の行動はとても希で、観察できるのは夜明けと夕暮れの30分間長くて1時間。写真を撮るチャンスは、10分程度の一瞬です。

 

そんなエゾモモンガの行動ですが、今朝は40分間。あちこち移動してハルニレの花芽を食べる可愛い姿を見ることができたラッキーな朝でした。昨日までのガイドでしたが、ここに来れば良かったなぁ、と少し申し訳ない思いでした。

そして、今朝の狙い。巣穴へもどる瞬間の滑空シーンですが、最初の1匹はなんとか追えましたが、こんな感じでした。

エゾモモンガの滑空シーンですが、可愛い姿のエゾモモンガが一瞬にして腕を広げて木々の間を滑空する姿は、見事。コウモリのような鳥のような、忍者です。不思議さが増すエゾモモンガの面白さです。そしてこれを写真に収めようと思うなら、超難題。昼間飛んでくれるならまだしも、夜行性のエゾモモンガなので、シャッターを押せるのは、夜明けの巣に戻るときに1回。夕暮れの巣から餌場に行くときの1回。1日2回だけ、それでうまく撮るなんて、何年かかるのでしょうか、面白いものです。

 

そしておまけに、今日は夕暮れの行動チェックにも行ってきました。今時期の活動は定刻どおりならば、16:30から17:00。巣穴には、16:30に到着し、息を殺してまつこと15分。1匹が顔を出し、続けて2匹目が出て、今朝と同じハルニレに飛び移って食事に出かけて行きました。この2匹のエゾモモンガは、もう少し観察を続けてみたいと思います。まだまだキンキンに冷えた寒の底。早起きもゆっくりなので、楽しみです。

昨日までのガイドは手堅くと思って決めた場所でしたが、暗さに完敗の2日間。そんな不完全燃焼からの、今朝の新場所でしたが、こっちに来ればよかったととても後悔した、1日でした。ごめんなさい。またチャレンジに来てください。

 

エゾモモンガの観察と撮影のガイドは4月末まで行っております。3月の繁殖シーズンは日中の活動のチャンス。それまでの2月中旬までは、冬型の安定した活動が観察できます。冬の美しさ、朝や夕暮れの空気。エゾモモンガの世界もまた独特です。完全プライベートガイドなので、冬道の心配、体力的な心配。他に見たい動物など、ご希望に合わせてアレンジできますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。