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after rain

冬を終わらせるまとまった雨が降りました。一気に雪解けが進みましが、また気温が下がり夜の気温がマイナス10度を下がると一度でた雪解け水も少し収まります。そんな寒暖を繰り返しながらゆっくりと本格的な春へと季節が進みます。

 

その気温差や光の強さで、まず初めに騒ぎ始めるのがユスリカたち。ロッジの窓の外にも暖かい日にはユスリカが飛び始めます。そうするとスプリングクリークや流れの緩やかな場所でのライズが始まり、虫たちに誘われて繊細なロッドを持ち出して、川へと気持ちが飛びます。

 

4日前ほどに、そろそろライズがあるかな?と息子Sとドライブ。暖かくなると水面に無数のユスリカが流れ始めて、同時にライズリングを見つけました。背負子(しょいこ)でSを背負って、息子のSと一緒にウエーディング。ライズに近づきますが、さすがにSが大きくなったので、まともに竿も振れません。それでも水の流れる音やきらめきを共有する春体験が気持ちい。目の前で繰り返すライズも結構良さそうだったのですが、結局消沈させてしまい。移動して、見つけたライズをなんとか取って、今期初のドライフライの魚でした。小さいですがとても嬉しい心の薬です。

 

 

そしてその日の夕方、取れなかったライズが気になって、気になって、雑用を片付けて夕方4時に川の様子を見に行きましたが、気温が上がった午後は雪解けで水量も増え、ライズもなし。そう上手くは行きませんね。そして、あのライズが忘れられず、次の日午前中にリベンジ。やっぱりライズは朝10時の気温の上昇と同時に始まりました。ユスリカが無数に流れはじめ、昨日よりも多い4、5匹の魚が並んでライズしていました。余裕があるので、川岸に寝そべって、上流からライズに近づいて、動画や写真を取って、ニヤニヤ。どのライズもいいサイズの魚ですが、その中でも一番大きな魚に的を絞りました。その時の動画です。

1時間くらい、カメラで遊びました。ロッドに持ち替え、下流からライズに近づいて。ロッドは今季初めて、遺品整理、大先輩の遺してくれた竿でした。シーズン初めはいつもフライのアイの穴の小ささ(老眼です)で、こんなに穴が小さかったか?と思います。なんとかフライを結び、投げるフライも予想外に場所に飛んでいくので、一人でダメダメさに笑っちゃいます。それでも癒しのスプリングクリークのブラウントラウトなので、3投目ほどでなんとかフッキングでした。水草に潜られながらもランディングしたら50センチでした。その後も、3、4匹がライズしていましたが、3日後の大先輩のリサーチだったので一番大きな魚だけをいただいて、すっきりのリサーチでした。

 

 

ブラウンのライズも始まって、いよいよ十勝川の下流、河口の海と川を行き来する大きく、とてもパワフルなアメマス釣りも始まる季節。大先輩は、雲の上の大御所!杉坂隆久さんが名寄から遊びに来てくれました。毎年、恒例になり始めているこの季節の釣りですが、スペイキャスで大きなアメマス、小さいフライでライズを仕留める。この2本立が楽しめるのが十勝です。今回は、杉坂さんが新作のホワイトグラスのテスト、入魂ということで、私にもシングルハンドの8番のグラスロッドを貸してもらいました。

 

今回は、友人ガイドのムッチも一緒に来てくれて、3人で十勝川河口であちこち釣り回りましたが結局釣れたのは、杉坂さんがカレイを1匹。それが、ホワイトグラスの入魂というので、残念でしたが、内心とても笑ってしまいました(ごめんなさい)。それでも白鳥が飛び交い、オジロワシがキャッキャと鳴き、どどーんと波が打ち寄せる十勝川の広大な釣りはやっぱりこの季節ならではです。もうあと1、2週間後なのでしょうが、雨や夜の気温次第でしょう。杉坂隆久さんのホワイトグラスはとてもいいです。カーボンにないグラスのしなやかさ、アクション、手の言うことを聞いてくれる感じが生き物のようで、それが同調したときのフライの軌道は、グラスならではです。夜はロッジにフィールドリサーチの高橋さんも遊びにきてくれ、ガイド4人でいろいろ楽しい話であっという間に12時を過ぎてしまいました。高橋さんが挿絵を手がけた、十勝のアイヌの本はとても読みやすく、十勝の歴史、自然、アイヌの伝説など面白く読めます。ロッジに数冊おいてありますので、ぜひお買い求めください!

 

結局、アメマス釣りはカレイ1匹になってしまったので、2日目のマッチザハッチの釣り期待です。朝9時には川を見に行って見ましたが、ユスリカもライズも全くなく、10時を回っても少しユスリカは増えましたが、ライズは始まらず、もしや?これは?と心配しましたが、ちゃんと釣りの神さは見ていてくれました。

 

橋の上から見つけたライズを、さすが杉坂さん、しっかりと一発で仕留めてくれました。それでもライズを見た瞬間に、そわそわするあの感じは雲の上のような杉坂さんでさえ、フライング気味に殺気立つ様子が、なぜか見ていて、安心しました。このブラウンも40センチ近いサイズで、この川にしたら満足のサイズ。その後もライズがあったので、お昼までに合計6匹釣って満足満足になりました。上流には天然記念物のタンチョウが川の中を歩いていました。下流のカラマツの木のてっぺんにはオジロワシは2羽とまり、白鳥も次々と飛んでいく、北海道の自然の姿、川でライズを待ってのんびりする時間がとても贅沢でした。

 

ユスリカへのライズは、フライサイズが16番でティペットが6エックスか7エックスで、今回、杉坂さんが開発中のホワイトグラスの5番ロッドでしたが、この5番のホワイトグラスの完成度も(私が言うのもなんですが)、素晴らしいです。グラスロッドなのにダワンダワンしてなくて、サクサクと振れる軽快さ。そしてグラスの持つトルクから飛ばすループの強さととんがって飛んでいくフライ。ぜひグラスロッドの指先のように動く感覚を、感じてみてください!ってこれくらいべた褒めしておけば、一本くらい完成品をくれるかな?(笑)。

 

それにしても、杉坂さんの釣りへの姿勢、常に改善して、新しもの使いやすいものを生み出す姿勢には感心し、こんなふうに年を取れたらと、とても勉強になりました。すごいお方です。いつも本当にいろいろとお世話になってしまい、鹿肉を送るくらいしかできないのにありがとうございます。また遊びに来てください。

 

 

 

季節を変える恵の雨、庭の福寿草や越冬したテントウムシもゆっくりと動き始めたようですね。週末からまたエゾモモンガのガイドです。ちょっとリサーチしておきます。