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Snow and Cold

3連休、いかがでしたか?こちらは、初日は糠平湖でのワカサギ釣り。2週続けての家族と楽しみになりました。日曜日の夕方がエゾモモンガのガイドだったので、午前中は娘に付き合ってもらい小学校のリンクでスケート。雪のない都会育ちの私にとって、学校の校庭がスケートリンクになり、ただでさえ寒い季節に氷と遊ぶ。そんな十勝らしい文化は小学生になった子供に教えてもらいました。しっかりと寒いからこそなせる技です。

 

夕暮れはエゾモモンガとフクロウのガイドになりました。お客様は小学校5年生女の子と2年生の男の子2人というスペシャルゲストに子供に引っ張られるかのようにお父さんとお母さんで合計5人での観察になりました。カメラを抱える女の子に、「いままでどんな動物を撮ったことがあるの?」と聞いたら。「エナガとクマゲラ」。小学校5年生でクマゲラの写真を撮るなんて、おそるべし。静かながらに内に秘めたような野心を感じる少女に、ニヤリ。

 

小学生の感性や観察力、適応力は私にとって観察してて一番面白い。自然に対する興味や好奇心が強い子供、さらにとても静かであまり話さないような子供は格別。外に出さない分だけ内に秘める深さを感じる。私も年かな?

 

夕暮れまでの時間に、フクロウのねぐらを2箇所チェックするも、珍しく不在。残念そうな子供たちの姿だけど、これも自然。双眼鏡の使い方を練習したり、夕暮れエゾモモンガの支度をする。夕暮れに急かされるように、エゾモモンガの巣穴までいき、外にでて、巣穴のまえで静かに待った。静かにね!と言ってもソワソワし、ウロウロし、立ったり座ったり。落ち着かない様子もまたいい。エゾモモンガはほぼ定刻どうりに巣穴から出てきてくれた。肉眼でもよく見える時間だったので夢中になる子供たちと携帯をスコープにあてて写真を撮るお父さん、お母さんも、ゆっくりと暗くなり、青や藍色の空気が森に漂い始めると、木の上まで駆け上ったエゾモモンガたちが私たちの頭の上を飛び越えて、滑空していった。いい時間をみんなで共有することができてなによりだった。

 

 

氷に穴を開けてワカサギを釣り、硬い氷でスケートをし、雪深い森で動物たちを観察し、連休最終日は、ようやく山へ。

 

 

今年の山歩きはなかなかのチャレンジャー。雪がない、少ないので、鹿たちは人里離れ、道路からも離れた山の上の日当たりの良い南斜面まで行かないといない。林道を車で走っても新しい足跡もなく、鹿の気配はとても薄い。鹿の行動も寒さと雪。こんなシーズンこそ、試されているようで私は燃える。

 

昨日は、スキーを履いて森に入ったけど、300mほど歩いてスキーを脱いで雪に刺し、長靴で(ツボ足)で歩くことにした。雪が積もった林道は、すこし雪深く感じたけど、狙いをつけた鹿の付き場は、スキーで近づくには音をたてるので、ツボ足で鹿のように忍足で近づくことにした。

 

道路から1.5kmほど林道を奥へと歩き、南斜面に裏から近づく。尾根には高速道路なみの鹿道が続く。足跡が新しいので、気配をムンムンと感じる。雪が溶けて、凍ってザクザクとうるさい。時々枝を踏んでバキバキと音を立てる、立っている笹がズボンにあたりカサカサと音がなる。歩く音がうるさくて鹿に気づかれてしまう。だけど、私の鹿に近づく秘技に全神経を集中する。トドマツやエゾマツに包まれた森に太陽が差し込み、ほんわりと温かい。夜の間に作られた樹氷が気温の上昇で枝から音もなくパラパラと落ちてくる。逆光でみるとダイヤモンドダストのように見える。音がない世界だけに、私が歩く音だけがうるさく感じる。

 

集中して歩く私のすぐ先で立ち上がってゆっくりと歩いている鹿がいた。茂みが邪魔で背中だけしか見えないけど距離は20mくらいでとても近い。銃を構えてスコープでのぞいたら、私の殺気に気づいたのか早足で行ってしまった。一瞬だったけどドキドキした。あと3秒鹿が動かないでいてくれたら、、、。

 

そのすぐ後だった。振り返るように斜面を見下ろすと、後ろにこちらを向いた鹿がいた。茂みもなく全身が見える、ピン角の若いオス。こちらに背中を向けて立っていた。スキーのストックで銃を支えてバーン。車から歩い2キロほど、時計をみると12時だった。車に戻ると3時半。充実の雪山での1日だった。

 

冬が寒いこと、雪があるからこそなせる技。冬もあとすこしです。