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まさかのまさか、
今回は人生初めてのニュージーランドでのガイドの仕事でした。といってもニュージーランドでは、永住権を持つ登録ガイドしか仕事はできないので、仕事といってもガイド仲間のお手伝い。ガイドはクラストチャーチに住む、私と同じ年齢、同じ身長という、5年前?のニュージーランド釣り旅で知り合ったクリスに期間中のガイドをお願いしての釣りでした。「ニュージーランドで釣りのガイドになる」という私の当初の夢が、まわりに回って26年の時を経て、私の夢が叶う旅でもありました。
きっかけは、十勝によく遊びに来てくれるお客さんが定年退職を迎えるのでニュージーランド行こうかという話とロッジラッキーフィールドの10周年記念ロッド(もう3年も経過してしまいましたが)が完成するので、その記念ロッドの完成も祝ってという流れで、ニュージーランド行きを考えたのが3年前。結局コロナ騒動で、延期に延期。ようやく計画は動いたのが2023年の1月でした。
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私にとっては8度目のニュージーランドですが、ゲスト2人にとっては生まれて初めてのニュージーランド。ニュージーランドの川は景色が綺麗で、北海道の川によく似ていますが、釣れるニジマスやブラウントラウトが60センチを超えるサイズなので、魚を見つけてからフライを投げるというサイトフィッシングが楽しめるのが特徴。なので、魚を見つけることができないと、そして見つけた魚が見えないと楽しさが半減してしまい、効率も悪くなるのがニュージーランドといっても難しさです。
魚を見つけるのは、普段から慣れているのですが、川の状況は毎年変わり、その季節、どの区間がベストな状態かそして最後はフライ。見極は現地ガイドこそが最重要で、クリスは、同じ年でもあって、兄弟?双子?のような間柄、なので、クリスが味方についているので、怖いものなし。私はほとんど添乗員状態で、クリスにおんぶにだっこ。
クリスのご両親の家に泊めてもらって、面白いと思ったのが、モナークバタフライ。
庭のビニールハウスに、ポットに植えられた植物の苗がたくさんあるので、初めは綺麗な花でも咲くのかと思っていたら、モナークバタフライの話をし始めたご両親。ハーブやコンパニオンプランツとして防虫として使うのかと思ったら、違いました。
トウワタという植物で、トウワタを食草とする蝶々の餌でした。
そのチョウチョが、モナークバタフライと言って、ググってみるてオオカバマダラという、オレンジ色の大きなアゲハチョウのようなチョウチョでした。そういえば、海を渡るチョウとしてアメリカでその話を聞いたことがありましたが、ニュージーランドにも在来種としているという話でした。
そして、この食草をどうするかというと、ここが面白いところで、
庭に、このトウワタを植えておくと、どこからともなくモナークが飛んできて、卵を産みつけるというのです。庭に植物を植えて、蝶々を呼ぶ。素敵じゃないですか!そして、蝶々が卵を産むと、幼虫がかえります。初めは小さかった幼虫もどんどんトウワタを食べて、成長します。幼虫の成長に伴ってトウワタもみるみるうちに食べ尽くされてしまいます。そして、またトウワタの苗を買ってこなければならなくなります。
そこに、クリスのご両親がたくさんの苗を育てているということだったのです。
美しいチョウチョが庭を飛び回る姿を見るために、トウワタの苗を買って庭に置く。子供からお年寄りまで、虫嫌いだった人でも綺麗なチョウチョはやっぱり綺麗。そのチョウチョの食草、卵、幼虫、さなぎ、そして羽化。そして羽化した町は海を渡って旅にでる。
チョウチョの生態を学ぶことで、自然への理解や意識へと繋がっていきます。さすがニュージーランドらしい、豊かさというか、意識の高さ。そして、そこでお小遣い稼ぎができる、名アイデアもなかなかと感心しました。
トウワタは、キョウチクトウの仲間。傷をつけると白い乳液がでて、人間にとってはそれが毒。でもモナークの幼虫は、解毒できる仕組みがあるよう。モンシロチョウと違ってモナークは、野菜の葉っぱは食べないので、ほんとうの意味で綺麗な蝶なんですね。
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卵から幼虫が孵るとどんどんトウワタの葉っぱを食べて、成長し、あっという間にトウワタを食べ尽くしてしまうそうです。
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隅っこで、ムズムズしてさなぎになりたそうな幼虫を発見。こんな様子を間近で観察できることもなかなかないですが、さなぎになって色が変わっていく様子も羽化を楽しみに待ちながら、面白いアイデアです。
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お裾分け用のトウワタの苗が玄関に、置いてありました。入国早々、ニュージーランドらしい面白さを垣間みました。私もアゲハチョウの餌として、フェンネルやパセリの苗を庭にたくさん植えようかな?
ここからニュージーランドの旅が始まりました。
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対岸に分かれて魚を見つけたり、写真を取ったり、時には通訳したり。一応ロッドを片手にガイド(みたいなこと)をしてて、ゲスト2人もいいだけ釣ったら、「吉原君も釣ったら?」と言うかな?と思いつつちょっと期待もしましたが、やっぱりそう簡単になかなか釣れなくて、竿を振前に逃げて行ったり、すっぽ抜けたり、最後は魚の突っ走りで竿を折られてしまったり。結局、私が持っていた竿はM本さんの折れた竿の代わりとなって、久しぶりのジョーカーもお役に立ててよかったです。
それにしても、人生初のニュージーランド、夢にまで見た世界、準備してきた期待が、全てこの数日で大爆発。いつも通りの釣りも興奮と夢中で全てを忘れ、とにかく、ただただ無我夢中で楽しんでいる2人。それを見てるだけで幸せでニヤニヤと、自分が釣りたいという気持ちは不思議と湧かず、いい時間の中に同席させてもらいました。(私も歳をとったかな?笑)。とは言っても、私も魚を見つけることに集中して、見つけた魚を観察して、立ち位置を決めて、フライをローテーションしてタイミングを決めて、ランディングして握手した瞬間は、26年の時を経て自分が描いた夢が叶っていることをシミジミと浸ったのかもしれません。
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三日間の釣りを終えて、今日は釣りを終えて、クラストチャーチまで帰る日でした。
山奥の釣りでパスポートをなくしたことに気づき。
どう考えても、山奥の河原で、ゲストの写真をとるために大きなカメラを出し入れしているときに、パスポートが入ったカバンごとどこかに落としてしまったのです。
帰りの飛行機は3日後に迫り、帰ることができるのか?
まず領事館に電話して、必要な書類を聞く。
1、警察に電話して、紛失届を出してもらう。
2、日本の役場で戸籍謄本をもらいコピーを用意する。
3、パスポート用の写真を2枚用意する。
4、帰りの飛行機のe-チケットを用意する。
この4つが揃えて領事館に来れば半日で帰国のための渡航書が発行される。
こころの中では、日本に帰ることができなければ、それはそれでニュージーランドにさらに長く居れる?と一瞬ニヤリともしたけれど、、、
これで、なんとか見通しがたったこともあって、最後の釣り
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ここぞとばかりに、竿袋から抜き出したのが、10周年記念ロッド。杉坂隆久さんのホワイトグラスをスコットのバンブービルダーの橋本さんに無理をいって仕上げてもらった、コラボロッド。しかもニュージーランド出発の2日前に完成したばかりの、試しぶりもしていない状態。残り時間は2時間。最後の仕上げ、最終日をうまく飾ることができるかどうか、、、
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湿ったジャングルようなシダの森を抜けて、斜面をくだり川に出る。
クリスが先を行き、私とmさんで後ろから魚を探す。クリスの後だったけど、川の横にある沼?池? 木が覆いかぶさり、上からセミが落ちてきそうな場所。十勝でもこんな止水は、クルージングする魚がよくいるもの、しばらく観察していると、水面をゆっくりと泳ぐブラウンの姿があった。クルージングのコースを観察しつつ、mさんを待つ。魚が奥へと消えていき、mさんと作戦をねる。必ず同じコースで戻ってくると思ったので、フライを浮かべて待ち伏せすることに。フライは、6番ほどのハルゼミくらいのセミフライ。
フライを水面に置き、竿先を下げて、待つ。しばらくしてちょうど良いコースでさっきのブラウンがゆっくりと戻ってくる。2人して声も出さず、体を固めて、息を飲む。
まったく絵に書いたようなコースでブラウンがフライに向かってくる。
あと3m、
あと1m、
そのとき、魚の速度が上がった。フライに気づいたな!
と思った瞬間フライには気づかず、底の何かを突っつくように食べた。
まさかちょうどいいタイミングに下の餌に気をとられて、水面のフライに気づかずに行ってしまうか、、、
と思った瞬間。
思い出したかのように、魚がUターン。
フライに気づき、ゆっくりとフライに近づいてきて、パクッと大きな口でくわえた。
ゆっくりとした合わせで抜群だった。
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コラボロッドも、杉坂さんが持たせてくれたガイドネットも全て素晴らしい仕事。最後を飾った締めの1匹。完璧で完結だった。
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とにかく、昼も夜も何度も何度も乾杯の連続で、天気にも、トラブルにも恵まれた滞在。それもすべて、クリスのおかげ。クリスの釣りキチ度合いは特級クラス。そして本当にいいヤツで、私も見習うべきところがたくさんある頼もしいガイド。
そして、最終日は、私1人でクラストチャーチで領事館、そして久しぶりの大聖堂。地震後に行ったのは初めてで、すっかり変わった街並み観光でゆっくりと過ごしたのでした。
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クリスとのご両親の家にもどると、もぞもぞしていたモナークの幼虫は、しっかりさなぎになっていた。チョウになるのを見たかったけど、今度はもっと長く滞在したいなぁ。
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クロウタドリが普通にいるのもニュージーランドならでは
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オークランド空港を襲った大雨、洪水の心配も、無事に国際線を飛ばしてくれて、なんとか無事に帰国。パスポートをなくしたので、出国も入国もとても面倒で、常に引っかかって時間ばかりかかっての帰宅となりました。それが旅の楽しみということで!
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I lost my Passport .
このフレーズを使う日が来るとは、今回の旅は、これまでのニュージーランドの釣り旅をかなり濃厚にしたような7日間でした。
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いや、もっと右。って言うか左?
その石!と言っても、どの石?
うん、まあ、そのへん。
最後に、こんな素晴らしい機会を作ってくれたtさんmさん、本当にありがとうございました。そして、クリス。やっぱり現地のガイドの底力は偉大。クリスとまた一緒に仕事?できる日が待ち遠しい。そして最後の最後に、全工程のサポートをしてくれたKeiさん、そして送り出してくれた家族、トラブルのサポートにあたってくれたN様、本当に感謝です。ありがとうございました。
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