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10月の釣りが終わりました。

全てはこの3匹です。

私のガイド能力というのは、どんなに川が良くても、どんなに大きな魚がたくさんいても、この3匹の行動パターンを予測できなければ全く不能。

 

というのが、9月から10月、そして11月の面白さ。ただそれだけでした。

 

どんなに、ティペットを駆使してフライを流せる人も、(もちろんできるに越したことはありませんが、)、フライフィッシングを初めて3日目という女性も、70歳を大きく超える大先輩も、誰であっても、この3匹の虫には敵いません。

 

10月は走り抜ける季節、オンナ心と秋の空というようで、雨かと思えば晴れ、ライズかと思うと突風。手のかじかむようなみぞれ混じりや横殴りの吹雪。風のないポカポカ陽気、天気ばかりは、コントロールできません。

 

そんな季節に木にぶら下がった葉っぱのようにフラフラ振られ、飛ばされるのが10月というもの。

 

 

そして、今シーズンクライマックス戦の最終日の記録的な1匹は!

 

1匹ではなく、

 

1頭でした。

 

いつもの通り、安定しないライズを待っていました。奥ではお客さんも石になって竿を片手に水面に集中。

 

 

なんとなく、なんとなく、右のほうが気になって、石がコロッと動く音が聞こえたので、「風もないし、、、」と振り向くと。

 

横にクマがいました。

 

 

クマは私に気づいていないようで、川の向こうの斜面をのっそのっそと歩いています。顔の周りが茶髪で、そんなに大きなクマではなく、恐怖も感じず、オスジカがいるような感じでした。50mほど離れているので、カバンに戻ってカメラを取りに行くと、動いた私に気づきました。

 

 

カメラを向けると、クマも茂みに隠れてしまいました。

 

オスジカの発情の季節なので、暇つぶしに持ち歩いている鹿笛を吹いて、クマを呼んでみた。

 

ピーッ、ブーッ、ブーッ、

ピーッ、ブーッ、ブーッ、

ピーッ、ブーッ、ブーッ、

 

 

三回鳴らしてみると、クマは鼻を上につきあげて、キョロキョロしていました。

鹿の匂いがしないか、気にしている様子でした。

目が悪いのでしょうか?あまりこちらを意識せず、リラックスしている様子でした。

 

何枚か写真をとってる間、私の前でライズを待っていたお客さんが、

 

「鹿でもいるの?」と寄ってきました。

 

それに、気づいたクマは、山の上へとはやいこと、サッサと登って行ってしまいました。

 

お客さんには写真を見せるだけで、説明したらビビっておられました。(ですよね)

 

人気のない山奥の渓流。ヒグマもさすがにもう釣り人なんていないだろうと思ったのでしょう。気配を完全に消した私には、気づかないのでしょう。この日を最後にここにまた来るのをやめました。川は釣り人だけのもではないですし、もうライズもしないし。

 

 

10月の紅葉は、一年を締めくくる季節として、何度みても美しいものです。