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やっぱり尺オショロ

「十勝といえばニジマス」と力強い引きを求めてこられる方が多いですが、オショロコマもいいですよ。

 

しっかりと水を保水する針広混交樹林の山。谷底は夏でもひんやりとした空気が流れ、霧を吹いて流れるような白泡の勢いのある川。昼でも木々に覆われた薄暗い渓谷。どこにでもヒグマの気配がするドシンとした雰囲気。森の指標といえるのがオショロコマです。

 

オショロコマというと、小さくて、飽きるほど釣れる。という癒し系のイメージですが、環境がよいとオショロコマも30センチの尺オショロコマまで成長します。私もシーズン中に尺オショロコマに出会うのは1匹か2匹。ニジマスでいえば60cmか70cmに値するくらい尺オショロコマに出会うことは難しいと思います。

 

 

8月の終わりに、大雪山系の雪解け水が終わり、川の流れも平水になる頃を見計らって、毎年尺オショロコマを求め来られるお客さんと、2日間尺オショロコマを狙いました。

 

 

 

 

林道を片道20キロ走り、林道崩壊場所からさらに2キロ山奥に入り、たどり着いたオショロコマのパラダイス。過去に、32cmが釣れた流心向こうの岩盤のプール。この場所にフライを入れたいためだけに、車のタイヤがパンクしないかヒヤヒヤで5年ぶりくらいに辿りつきました。

 

人を寄せ付けない、大雪山系からの雪解け水、遡行も困難な荒い流れも8月に落ち着く。それでも場所を選ばないと渡れない勢いある冷たい水。人間活動を飲み込むような大きく太い自然を感じる。

車で悪路を20キロ走り、車を止めて、さらに2キロ山道を進み。ようやく到着した32cmが釣れた岩盤のプールは、昔と変わらず雰囲気を漂わせていました。流心の向こうの反転流に落ち葉が浮き。オショロコマも浮いてライズをしていないか、しばらく観察してみたけど。その姿はありませんでした。前後の区間を釣ってみると、そこそこのオショロコマが釣れてくれました。

 

オショロコマやイワナで思うのが、お盆をすぎると大型魚が消えること。

 

今回、十勝川源流域で釣れたオショロコマもサビが出はじめていました。お盆を過ぎると産卵を意識するのか大きなオショロコマやイワナが釣れなくなる。天気や虫の流れ方で変わるのかもしれませんが。

 

今回24cmが最大で、オショロコマとしては大きなサイズ。秋口の錆びたオショロコマというのもこれまた風情がありますね。ということで、夢の尺はまた来年にもちこしになりました。

 

新潟のバンブーロッドビルダー EVER ROD (エバーロッド)の荏原さん。自分で竹を削り、フェルールやリールシートまで金属から削り出す。この繊細なロッドを作り上げる職人技。時間があれば魚を釣って、それが竿作りに反映される。この研究心と好奇心は、私もその年になった時、それだけアグレッシブであり続けることができるだろうかと、いつも尊敬させていただいております。普通バンブーロッドは6角ですが、荏原さんのバンブーロッドは5角形。中空構造で軽さを追求されたロッドは、重さを全く感じない、軽快で気持ちよく振り続けることができるバンブーロッドです。興味がある方は、荏原さんの日々のブログをご覧ください。こちら、https://ever-rod.jp

 

 

 

 

そして、荏原さんのガイドが終わって、次の日のこと。

 

帯広空港にお客さんを迎えに行って、ロッジまでの帰る途中にニジマスでも狙いましょうと、車を止めて川に降りたプールでライズしている魚を発見。いつもは50センチくらいのニジマスがライズするプールですが、しばらく観察していると30センチくらいのニジマスのライズ。

 

 

ライズも安定しているので、小さいけど釣ってみましょう!と、フライを投げたら。1投でいい流れに乗り、あっさりフライをくわえたニジマス。ニ、ジ、マ、ス?

 

 

オショロ、オショロ、オショロ!

 

 

状況を把握していなお客さんを横目に、慌ててネットを出して、バタバタする私。

 

重い流れの中で無理やり、ランディングしたものだから、ネットを壊してしまいました。(杉坂さんごめんなさい)

 

 

オショロコマを釣ったのは人生初のお客さん!それがこのオショロコマでした。

 

 

大きなヒレ、オショロコマらしからぬとんがった口。体高ある体。尺には1センチ足らない29cmのオショロコマでした。美しい魚に、大喜びのお客さんでしたが、私は、

 

「これが昨日釣れててくれたらなぁ」と、

 

心のなかで思うのでした。

 

それを、ロッジに戻って荏原さんに写真をお見せしましたら、頭を抱えておられました。

全く、力足らずのガイドごめんなさい。尺オショロ。この道はまだまだ続きそうですね。